マンション購入の基準は見た目や価格だけではない事を知っていますか

マンション購入を考えてられる方へ

マンション購入は、立地条件や外観、間取りの広さ等を見て決められるのだと思います。
しかし、実はマンションという資産を考える上で、これらの分かり易い条件だけでなく、
とても大切な、”マンションの管理”についても、購入を検討する段階でしっかり
確認しておくことが必要です。

「うちのタワマン、完成してからわずか3年で管理費が3倍になってしまった。。。」

なんて話、聞かれたことありますよね。

まあ、3倍はいくら何でも・・・とは思いますが、
そもそも分譲された際の管理費と修繕積立金は、今後マンションを維持管理する上で全く
足りていないのです。

建築当初は完売目的の為に管理費等を安く設定していますから、運営が始まればすぐに
これら費用が不足する事を管理組合で皆さんが気づくことになります。
管理費と修繕積立金がお安いと喜ばれて購入された貴方、残念ですがそういうものなのです。

新築マンションであれ、新築後新しいマンションであれ、賃貸マンションから住み替えで
マンションを購入しようと物件探しをしていると、管理費等のすごく高いマンションが
沢山見当たったと思います。
その中でも新築に近いマンションは管理費等が安いのですよね。

例えば、
○購入したマンションは、現状の管理費が嵩み、近年値上げしたにも関わらず、更に値上
げをする予定がある。
○新築ちかい中古マンション物件で、管理費・修繕積立金が安いからと購入を決めた。
しかし、購入後すぐに大幅な値上げになった。
○2回目の大規模修繕工事をするにあたり、現状の修繕積立金では不足であるため、
その不足分を区分所有者に一時金として徴収される事になった。[/aside]

こういった話は買った方にとっては突然かもしれませんが、実はこの様な情報は購入前
にきちんと調べれば分かります。
「そんな話、購入前に聞いていない。」のではなく、調べていなかっただけなのです。

そこで今回は、
立地条件や見た目とは違う、マンション特有の”管理”について、お話ししたいと思います。

始めに、基本に戻り管理について
1.管理会社の業務って?
2.マンション管理組合とは
3.管理組合の理事に専門知識が無い為に、好きにされている所もある
4.マンションの管理情報は、購入前に調べる事とは
から、順に話してゆきましょう。

マンション管理会社の業務とは

管理会社とは、マンションの維持管理を行う業者の事で、マンションの管理組合から
業務依頼を受けて行う業者を言います。

業務範囲については管理組合がどこまで依頼するか、によります。
例えば、自主管理、一部委託管理、全部委託管理の方式があります。

マンションの管理業務の範囲は、
事務管理業務と管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務の4つに分かれており、
事務管理業務には「基幹事務」と「それ以外の事務」があります。

●「基幹事務」とは、
1)管理組合の会計の収入および支出の調定
○収支予算案・決算案の素案の作成
○収支状況の報告

2)出納
○組合員が管理組合に払う管理費等の出納
○滞納者に対する督促
○通帳(管理費・修繕積立金)の保管
○経費の支払い
○帳簿の管理

3)維持修繕に関する企画・実施の調整
○マンションの劣化状況に基づき、修繕工事、実施予定の時期、概算費等の助言
○長期修繕計画(案)の作成
○維持又は修繕を管理会社以外に委託する場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認等

●「それ以外の業務」とは、
1)理事会支援業務
2)総会支援業務
3)各種点検、検査結果などに基づく助言
4)各種検査などの報告、届け出の補助
5)設計図書、管理規約原本、総会議事録、理事会議事録等の保管

基幹事務のみを委託する管理方法もあります。
管理費の予算不足の場合は自主管理とし、専門性を要する一部の業務のみを
直接専門業者と契約という場合もあります。

「それ以外の事務」では、
建物・設備等の管理・総会や理事会の運営補助・大規模修繕計画立案までの
殆どの業務を管理会社が行っています。

その他、日々の清掃業務やマンション管理人業務だけでなく、トラブルにも
対応してくれていて、マンション管理運営を行う上で管理組合は大きく依存
している項目でもありますね。

ただ、管理組合の理事がそれぞれ本業を持つ区分所有者である為、専門知識を
持ち合わせていない等の事で、結局業務の大部分を委託しているのも実情です。

これらはとても助かっています。
理事会の運営自体も、会計、修繕計画やトラブル対応も長い期間に渡って、
管理会社に大きく依存しています。

一般的には管理会社に毎月定額の管理委託費を支払い、不定期に生じる費用は
業務を実施した業者に直接支払われることが多いです。

管理組合を運営する現実問題として、理事の任期が1~2年で交代するのは、
たとえ自分の人気以前の数年間の流れを理解する事すら難しく、また知ったと
してもこれに対応することも難しいです。
少なくとも、2年間の任期とする理事で1年毎に半数の理事が交代する形式の
理事会方が理想に近いのかもしれません。

まあ理事長や理事は、管理会社から見れば、たった1.2年でころころ変わるので、
お飾り的なものなのかもしれませんね。

マンション管理組合とは

次は、マンション管理組合についてお話ししたいと思います。

マンション管理組合とは、マンションを所有する区分所有者が組合員として
構成される組織で、この管理組合が、各区分所有者から一定数の役員(理事)
を選出し、マンションの運営を行います。

管理会社もマンションを管理する上で、管理組合から業務を委託されている
業者の一つです。

管理組合の組合員とはそれぞれが職業を持つ一般の方なので、マンションを管理
する為の専門的な知識や、資格を持っている方も少ないものです。

マンション管理組合は、かなりの割合(全体の約70%以上)で管理会社へ一括
業務依頼(全部委託管理)している訳ですが、マンションの中には管理会社に頼らず
自主管理しているマンションもあります。
その際は、各役員(理事)の業務も増える訳ですが、運営は自由な訳です。
区分所有者から集めた管理費が不足すれば自主管理する必要がある事もあります。

役員(理事)は、区分所有者(専有部分の所有者)で構成され、一定期間管理組合に
参加し、理事会にて議題を議決し、総会で決議を取る方法で行います。

役員の任期は次年度への引継ぎを考えると、2年以上の任期が良いでしょう。
理事の半数を1年毎に理事を入れ替える訳で、1年目は一般理事、翌年は理事執行部
として管理運営を行います。
年度ごとに役員の総入れ替えではないので、議題や議事がスムーズに次期へと
持ち越される利点があります。

昨今、役員へのなり手がいない事が問題化している。

問題の解決法として、外部の専門家(建築士・マンション管理士等)や管理会社に
理事を任せる第3者管理方式を採用する管理組合が増えてきました。

メリットは、
1.役員(理事)のなり手不足の解消による管理組合員の負担減
2.専門知識を持つ人材による管理会計や修繕計画の適正化
3.問題解決や意思決定の迅速化
などがあります。

輪番制の役員(理事)にはマンション管理業務や財務に詳しい人が選ばれるわけ
ではありません。合議制とは言え、議案の決定が決まらず先送りをしたり、
管理会社任せになりやすいのです。

対して、専門家であれば問題が起きても適切に判断し、解決策が出せるメリット
があります。それには複数年の契約での管理サポートが必要だと考えます。
デメリットとしてはそれなりの費用が掛かる事ではありますが、解決法として
はお勧めできる方法だと考えられます。

ちなみに第3者管理方式として、マンション管理会社が行う方法もあります。
理事も理事長もマンション管理会社が行い、区分所有者が総会で決議する。
一見、区分所有者が最後の決定権を持っていそうですが、総会自体、決められた
議題に対して決議する会である為、当日に審議するテーマは決議が出来ず、
以前から区分所有者が議題を提案していないと総会の効果はありません。

マンション管理の全てを把握しているマンション業者を第3者管理にするのは
とても怖い一面があると感じています。

管理組合の理事に専門知識が無い為に、好きにされている所もある

管理組合の役員(理事)は一般の方が殆どであり、管理会社は多くのマンションを
管理している専門家達です。
ですからマンション管理の資格や経験がある担当者と、対等に話せる人は殆ど
いないはずです。

一旦委託すると、ある意味全て管理会社にお任せで、契約どおりにきちんと仕事
をしているかの確認すらできていないることが多いのではないでしょうか。
(単年度の理事は短すぎて理解する前に任期が終わってしまう)

マンション管理会社は、監理しているマンションの懐事情はすべて把握しており、
改修すべき場所も全て知っています。中小の改修工事は管理会社が見積もり発注
するでしょうから、請け負う為の価格操作は簡単です。

上手く改修や管理を提案されて、管理料や修繕積立金を持っていかれ、手元に
幾らも残っていないマンションもあるようです。

前項で話したような、第3者管理方式を採用する。又は、専門家のアドバイザー
と契約しておくのも、管理組合の運営を管理会社に自由にされない為にもお勧め
です。

現在、マンションの管理費や修繕積立金が不足しているマンションが急増しています。
貴方が住んでいるマンションの管理費や修繕積立金が不足した場合、その不足分は
誰が負担するかをご存じでしょうか?

管理費が値上げする事になったと、この話の初めにお話ししました通り、不足分は、
区分所有者である組合員が負担する事になります。
そして、大規模修繕工事の様な大きな費用が必要な場合、所有する修繕積立金が
大規模修繕工事代金に不足する場合は、不足分を急激な値上げもしくは一時金にて
負担する事になっています。

管理費や修繕積立金が年を追う毎に高くなってゆくのは、当然と言えば当然の事だと
言えるのです。

ちなみに管理費と大規模修繕費の目安をお話ししたいと思います。

管理費については、H30年の国土交通省のマンション調査によると、
駐車場使用料等からの充当額を含む月/戸当たりの管理費の総額の平均は 15,956 円で、
総戸数規模が大きくなるほど低くなる傾向にあります。
形態別では、平均は、単棟型が 16,213円、団地型が 14,660 円。

大規模修繕積立費は、マンションの修繕積立金に関するガイドラインR3年9月改定版
によると、修繕積立金の平均は、20階未満で建物延べ床面積5,000~10,000㎡で、
専有面積当たりの積立金は、170~320円、平均250円~/㎡となるようです。
75㎡ですと、18,750円~ですね。
実際は、建築費の高騰からもっと高くなると想定出来ます。

地上階数 建築延べ床面積 専有面積当たりの修繕積立金額(㎡/月)
平均
20階未満 5,000平方メートル未満 335円
5,000から10,000㎡ 252円
10,000~20,000㎡ 271円
20,000㎡以上 255円
20階以上 338円

マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)

マンションの管理情報は、購入前に調べる事

マンションの管理規約や細則は、マンション毎に微妙に違います。

基本は、【マンション管理規約】があるのですが、規約や細則はマンションに
よって変更されています。
分かり易い例でいえば、ペット飼育の可否、駐車場・駐輪場等の仕様規約、
インターネット環境、楽器の使用、ゴミ出しルール等がありますね。

マンション管理の詳しい情報は、手続きを求めれば手に入れることが出来ます。

管理会社に【重要事項調査説明書】という書類を求める事で、手に入れることが
出来ます。また申し込みは、区分所有者か不動産業者からの手続きによります。

その際、総会の議事録及び理事会の議事録を各3年分、管理規約・使用細則、
長期修繕計画書、管理費等の改定予定、大規模修繕工事実施予定・一時金徴収の有無、
管理費・修繕積立金の月額等を一式求めるといいでしょう。(費用は、2~3万必要)

特に大切なのは、マンションの持つ修繕積立金と長期修繕計画ですね。
積立金は主に大規模修繕工事に使う為に積み立てるのですが、次回の大規模修繕工事
の予定年度までに適正な価格を積み立てられているのかが重要になります。

積立金が不足しているのであれば、区分所有者で負担しなければなりません。
ですから、これは購入前に必ず調べておくべき事項です。

まとめ

マンション購入の判断は、
立地条件や外観、間取りの広さ等で単純に決めないで、
マンション管理の状況を確認した上で、購入を決めるようにしましょう。

情報を知らずに購入するのと、情報を知っていて購入するのでは
大きな開きがあります。 そしてその情報は、誰も知らない情報ではなく、
知っているだけで簡単に手に入れる事が出来るのです。
購入したあとで知って後悔しても、貴方がリスク回避していなかっただけですから。

マンションは販売価格がマンションの価格ではありません。
マンションの管理組合、そして所有する修繕積立金や利用規約も大切な
判断材料であり、その評価がマンションの資産評価とになるのです。

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