物件購入までの実例ストーリー

バイヤーズエージェントストーリー

土地や中古住宅の購入は、住まい手にとって人生最大の決断です。その重要なタイミングに当社が関わってきました物件で、実際に住まい手(買主)が体験したストーリーを幾つかご紹介いたします。

見ていた物件の価格が下がったのをきっかけに購入を決断した Qさんの物語

バイヤーズエージェント実例ストーリーズ(story’s)

Qさんは、住んでいた地元地域内で自ら物件を探していました。
そして物件情報についてとても詳しく調べてられました。
ある日、Qさんが以前から気になっていた物件の価格が最近下がったことを知り、それをきっかけに購入を決断し、我々に連絡をいただきました。

物件は1980年頃に分譲された住宅分譲地で、開発された道路沿いにあり、広い町道に面していました。
建物は昭和52年に建築されたもの(建築概要書に記載あり)で、敷地調査を行ったところ、かなり昔の物件であるとはいえ、分譲地であるため道路や境界にピンが設置されており、排水も公共下水が完備された区域であることが判明しました。

一方で気になったのは、道路内の給水本館から敷地へ引き込まれている給水枝管径の情報が不明であったことです。
敷地内のメーターは13mmでしたが、20mmに変更することは問題ないとのこと。ただし、給水本管から敷地までの引き込み管の径が不明で、水道局の台帳にも記載がなく、メーターのチェックでも確認できませんでした。
そのため、一旦、新たに給水本管からの引き込みを設計に盛り込みました。
しかし、実際の工事段階で水道業者から引き込みが20mmであることが判明し、引き替え費用が不要となりました。これは幸運なことで、ラッキーだと感じています。

また、水道局での調査で興味深い事実がわかりました。
給水メーターの所有者が開発時の分譲会社のままだったのです。
これが気になり、調べてみると、以前の所有者も何十年も気づかずそのまま使っていたようです。
このことに気づいた当社は、建築後、Qさんの名義に変更する手続きを行いました。

さらに、この物件の不動産取引に関する重要なポイントとして、敷地境界線上にあるブロック塀があります。

隣家との間にあるこのブロック塀の中心線が敷地境界線となっています。
現状のブロック塀は高さが1.2m程度で控え壁がなく、地震で倒壊する可能性があります。
ここで問題なのは、片方の所有者だけの判断でブロック塀を取り替えることができない点です。
取り替えを行うには両方の同意と費用の捻出が必要で、隣家に改修の意思がなければ、事実上、改修が不可能となります。

購入については、価格が下がったばかりだったこともあり、価格交渉は難しかったのですが、結果的に提示価格の約12%の値引きを達成し、売買契約を締結しました。

既存の建物については、当初から撤去して建て替えることが目的だったため、住宅診断は行わず、解体を行いました。新しい住まいの設計は我々が担当し、新たに耐震性の高い住まいを建築しました。

不動産業者の囲い込みに直面した Pさんのエピソード

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Pさんは、以前から希望していた地域で物件を探していたところ、ネットで手頃な価格の物件を見つけました。
それを見つけたPさんは、いつも当社が相談している不動産業者に物件の問い合わせを依頼しました。

しかし、売主側の不動産業者からの回答は、「その物件はありません」というものでした。

それを聞いたPさんは、物件がすでに売れてしまったのだと思い、一度は諦めていました。
しかし、ネットで再度確認したところ、その物件はまだ掲載されています。
これに疑問を抱いたPさんは、自分で直接その会社に物件の有無を問い合わせてみました。
そこで、売主業者から「物件はあります」との回答が返ってきました。

これは、直接買主からの問い合わせを待つための明らかな「囲い込み」です。

囲い込みとは、業者からの物件確認に対する回答として、
「物件は売れた」「買い手は決まっている」「その物件はすでに契約交渉に入っている」などと誤った情報を提供し、直接自社に問い合わせが来るのを待つ方法です。
これは、仲介手数料を売り手と買い手の両方から受け取るための手法です。

この件を当初問い合わせを依頼した不動産業者に相談したところ、その業者が売主側の業者に再度問い合わせ、どのように対応するのか話し合いを行いました。

その結果、無事に売買契約が成立し、Pさんは物件を購入することができました。ただし、囲い込みを行う業者は未だに存在します。
本当に罰則規定を設けるべきだと私は考えます。

古民家に住みたい想いを実現した Nさん

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Nさんは、我々に家づくりの希望を二つ伝えました。一つは建物が古民家であること、もう一つは奈良町に住みたいということでした。奈良町は人気の場所で、ここで物件を探すのはなかなか難しいものです。

知人の不動産会社の担当者、T氏に相談したところ、その会社の関連会社が所有する物件があると教えてくれました。
それは賃貸物件でしたが、現在は空き家であったため、早速見学させていただくことになりました。

建物は1938年に建築されたもので、既に築80年が経過していました(屋根裏には御幣が残っていました)。
内装は面白い工夫が見られましたが、キッチン周りの床がふわふわしていたり、段差や傾斜があったり、雨漏りもひどく、このままでは建物を利用することは難しいと判断しました。
そのため、本体のフレーム(柱・梁、屋根の骨組み)を残してリノベーションを検討することにしました。

敷地の境界にはすでにプレートが打たれており、問題はありませんでした。
しかし、裏の家の物置の屋根がこちら側に越境していたり、隣の家と壁が繋がっていたりしたため、可能な限り接する建物と分離する必要があることを確認しました。

Nさんもその建物に魅力を感じ、購入できるように交渉を進めることになりました。
もともと賃貸用に所有されていた物件を購入したいという要望でしたが、T氏の協力により交渉が成功し、購入することができました。

売買契約では、事前に全ての書類にチェックを行いました。また、売買契約後には融資先の銀行とのやり取りで、融資に関して建物の安全性の証明が必要とのことでした。

我々が設計を全て担当していたので、その証明書の発行も我々の責任で行いました。

工事では、土台、柱、梁、小屋組を残し、屋根の葺き替えから新しい壁の設置、耐震補強、高気密高断熱仕様を導入しました。それら全てを行いつつも、古民家の雰囲気を感じられる造りにリノベーションしました。

リノベーション後の建物は、古民家の持つ本来の雰囲気を保ちつつ、美しく仕上がりました。
物件価格は割高でしたが、奈良市都市景観形成地区建造物保存整備費補助金の対象区域に位置していたため、補助金を受けられました。これは、Nさんにとって大変喜ばしいニュースでした。

結果として、Nさんの「古民家に住む」夢が実現しました。
当社もそのプロジェクトに関わることができて幸せに思います。

実家近くの2区画分割地選択で購入した Mさん

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 家づくりの相談を受けていたMさんから、『実家の近くにある土地で、2区画あるのですがそのいずれかを購入したい』
という連絡を受けました。
Mさんはその2区画のどちらが良いかについても相談です。

その土地は、元々美容室を建てるために購入された土地だったようで、道路も広く、店舗としても適した土地でした。
しかし、採算性の問題から美容室の計画を断念し、土地を売却することになったそうです。
そのため、この土地は住宅用地として2区画に分割されました。

売却に先立ち、給水と排水施設が新たに設置され、購入検討時にはどちらの区画を購入したとしても魅力的な状態でした。

条件としては、メインの道路は南側に位置し、非常に広い道路に面しています。
2区画とも同じ接道条件で、片方は幅の狭い道路に面していますが、実際には道路までのわずかな隙間があり、完全な角地ではありません。

また、この敷地は、南側の道路面に広い惻溝があります。
調査でこれが公有地である水路であることがわかりました。
そのため、正式にはこの土地は道路に面していないこととなり建築確認が取れません。
実際には、敷地に入るための水路橋の申請(水路占用許可)が必要になります。

片方の道路に面している(正確には面していないが)土地を選択した場合、採光に有利ですし、視界を遮る障害物もありません。また、敷地の北側にある隣家が平屋であるため、2階に窓を設置すれば、風の通り抜ける道が確保できます。

狭い道路は幅員4m未満の二項道路として指定されており、その道路との間には70㎝ほどの隙間があります。道路から中心後退しても、敷地との間には20〜30㎝の隙間が残ります。
その隙間に個人所有の土地が存在することが気になりましたが、20㎝の隙間に看板でも設置しない限り、土地の活用方法は限られてしまいます。
直接道路に面していないため、道路斜線の影響を受けにくいとも考えました。
それゆえ、私は狭い道路に面する、角地風の土地をMさんにお勧めしました。

不動産のチェックについては、、二区画の選択時の際に事前調査済みでしたので、売買契約には問題ありません。
私もMさんの売買契約に同席し、無事に契約を結ぶことができました。

計画は進み、建築確認の申請時に確認申請機構から、「側面の道路について道路斜線の検討が必要」と指摘を受けました。
敷地は道路との間に隣地があり、道路に直接接していないと説明しましたが、このような狭いケースでは道路斜線の検討が必要だとのことでした。

対処として、前面道路が広いため、道路幅員の2倍までの区間は斜線緩和が適用されるので残りの奥にあたる建物の一部が道路斜線にかかります。そこで、天空率の計算と申請を行うことで、問題を解決しました。
狭い道路に面する敷地は、こういったことがあるので注意が必要です。

建築確認を終えた後、工事が完了し快適な住まいが無事に完成しました。
北側の2階に窓も設置し、家族が集まる空間として利用されています。
Mさんご家族に喜んでいただくことができて、私もまた幸せです。

自然豊かな理想の地で助産所を建てた Lさん

現地開発許可・検査完了時

Lさんと共に平群町〇〇地区の理想的な土地を探し始めたとき、私たちはその挑戦がどれほど難しいものになるかを予想していました。

Lさん願いは、この自然豊かなこの地域に助産所を開設することでした。
しかし、地元の規制や基準を満たすためには、多くの困難が待ち受けていました。

Lさんはこの地域がとっても大好きで、ここに助産所を移転したいと考え、空いている土地を一つ一つ歩いて探し、空地があると所有者を探してきたのだそう。

特に、この地域は多くの地区が市街化調整区域内に位置しており、建築が可能な場所は、幹線道路から幅員が4m以上の道路で繋がっているという条件を満たす土地を見つけるだけでも困難でした。
いろいろ探してみて県の開発担当者とも協議しましたが、難しいというのが見解です。

ところで市街化調整区域内での助産所の建築は、条件が満たされていれば建築許可が可能です。条文は、都市計画法34条第1号で、許可に要する審査基準は[審査基準2]-7に記載されていますが、許可を取るのは簡単ではありません。許可を取る関所は難関です。

また、物件を見つけても協議に持ち込むにはいくつものハードルがあります。
例えば、
⚫︎幹線道路から現地までの区間での道路幅員が4m以上ある
⚫︎市街化区域がすぐそこまで来ている場合は、市街化区域内で購入する
⚫︎敷地から半径500m以内の市街化区域と調整区域の住戸数を比べて市街化区域内の方が多いことを証明する
⚫︎現況擁壁がある場合は、その安全性を証明する
⚫︎その他、消防用設備の設置、給水管の水量、消火栓の設置、等等。
これらを一つ一つを解決しないと建てることはできません。

その中でも、特に難易度が高かったのは、現地の擁壁(間地石)の安全性を証明することでした。

最終的に建築が許可された現地には、付近一帯で以前築造された擁壁が積まれています。
私たちは航空地図を用いて造成時期を調査し、特定した期間内での全ての開発許可申請または宅造許可を探しました。
しかしながら、何も見つからず、結果として擁壁が無許可で築造されていたことだけが判明しました。
これにより、開発許可を取得するためには擁壁を遣り替える必要があることが明らかとなりました。

一方で、敷地の上段にある擁壁が崖条例に抵触するかどうかも調査しました。
崖条例が適用されると、建築自体が困難になる可能性があります。しかし、幸いにも、私たちの調査では崖条例に抵触しないことが確認されました。

開発許可の申請と並行して建築確認を進め、擁壁の遣り替え、開発の検査、そして工事の着工から完成まで進めることができました。建物の設計と監理は、当社が 行いました。

今回、開発許可は買主の問題とされ、購入した不動産業者はそれを特約条件にはしません。
しかし、私たちはLさんと一緒に、これらの問題を解決するために全力を尽くしました。

最終的に、Lさんの助産所は完成し、地域の母親たちにとって大切な場所となりました。
これはただの建物ではなく、新生児とその家族が安心して過ごせる場所、そして地域の一部となりました。

駅前の分譲地の造成初期から購入場所を決めていた Kさん

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Kさんは分譲地の造成初期から具体的な購入場所を決めていました。
その場所は駅前の大きな開発分譲地の一部で、現在(当時)も開発工事が進行中でした。

その時点では、開発地はまだトラックが出入りし、道路らしき形状とスロープが作られている程度で、私たちは分割計画図を手掛かりに購入予定地を探す状況でした。

Kさんが選んだ場所は、開放感あふれる気持ちの良い場所でした。
開発地は道路を挟んで階段状に造成されており、購入予定地も道路側と反対側が地盤が下がっており、そこに1.5m程度の擁壁が築造されるための型枠が設置されています。

私は、擁壁のベース部分に建物を建てたくなかったこともあり、その具体的なサイズを知りたがっていました。
また、造成地(盛地)であるため地盤が軟弱であると予想し、地盤改良の必要性もあります。

こうした情報は、建物の計画段階に必要なものであり、それらを踏まえて開発前に現地の状況を把握しておくことは大変重要でした。

敷地の調査では、造成完了時点では道路に敷地ポイントが設けられ、給排水も完備されていたため、大きな問題はないと判断します。道路も6Mでした。

注意点としては、この開発道路が市町村へ帰属するものなのか、それとも私道なのかを確認する必要があります。
結果、道路は町道になります。

一方で、売主の対応については残念なものでした。
擁壁の詳細な情報を得るために、私が売主の業者に直接訪れたにもかかわらず、不適切な言葉で追い返されました。

それでも、Kさんの新居の建築は順調に進み、快適な住まいが完成しました。
設計監理は当社が行っています。
窓からは開放的な景色が広がり、基礎下には地盤調査の結果に基づき、擁壁のベースを避けた位置に改良杭が打設されました。

そして、Kさんは理想的な住まいを手に入れることができました。

伝統的建造物群保存地区で土地購入した Jさん

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Jさんは不動産業者から伝統的建造物群保存地区内にある平屋の廃屋を紹介され、これを購入しました。

この物件は橿原市の今井町に位置しており、猫だけが住むような空き家でした。
売主は相続を受けたのち現金化を望んでいるとお聞きしています。

今井町は江戸時代の街並みが残る寺内町で、奈良でも特に有名な地区です。建物が密集しており、隣地との境界がはっきりしないことが多く、細い路地が多い地区です。

物件には法務局に敷地測量図はありましたが、境界ピンが現地になく、購入するには隣地所有者との立ち合いが必要でした。

立ち合いの際に隣地所有者から「昔から隣地の持ち主とはこう決めていた」という主張があり、これを確定することで、Jさんの購入敷地が狭くなる結果となりました。

売主や仲介不動産会社はあまり関心がなく、隣地所有者の主張をそのまま受け入れる形での解決です。

Jさんと私は買主としての立場で立ち合いしているだけであり、所有者ではないのでどうこう言えるものではないものの、本来なら家屋調査士を介して隣地との交渉をするべきではないかと考えますが、不動産業者はポイント確定事務を終わらせる為に隣地所有者の言い分を全て受け入れました。

売買契約は公簿売買ではありますが、これにより購入する敷地の間口が少し狭くなったことで、その狭くなった分を考慮した
価格交渉が成功し、購入ができました。

建物が密集した地域で土地を購入する際は、境界の確定が難しい場合が多いです。
隣地所有者の主張によって敷地が狭くなるという事態が起こり得るため、専門家の助けを借りて境界を確定することが重要です。

Jさんは購入した廃屋を解体し、新たに建て替えて住まいを完成させました。外観は街並みに合わせた意匠となっています。

また、伝統的建造物群保存地区内で建て替えを行う場合、行政指導に合致する建物は補助金の対象となります。

Jさんの新しい住まいも、道路面の部分だけを街並みに合わせることで一部の補助金を受けることが可能になりました。
ただし、建物の内部は補助金の対象外でした。

さらに古い指定建物については、建物のフレームや屋根の形状、柱や壁の位置を変更することは許されていません。
そのような場合、より多い補助金を受けることができます。

しかし、一つ問題が考えられます。
この件では敷地が事前に示されていたよりも狭くなったにも関わらず、敷地の謄本や測量図は修正されず、実際にはより
小さい敷地の固定資産税を支払っている状態となりました。
これは僅かな額かもしれませんが、毎年の固定資産税の損失が積み重なることを考えると、重要な問題です。

結論として、建物が密集した地域での土地購入には専門的な知識と注意が必要です。
隣地所有者の主張だけで敷地の境界が確定されると、不利益を被る可能性があるため、専門家とともに正確な確認と交渉
を行うことが重要です。また、今回の不動産業者は、売主と買主双方の取引業者で、両手取引になります。

少し立ち会いを済ませれば良いという事務的処理を感じた取引でした。
本来であれば売主、買主それぞれの不動産業者が利益を第一に考えた対応をすべきでしょう。

造成前の地形図から分譲区画を決めた Hさん

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奈良市内の人気エリアで、約50区画の分譲地を購入したいとHさんから相談がありました。
Hさんは、どの区画を購入するのが最適かについて、アドバイスを求めてきました。

敷地のブロックは、進入口から登りの幹線道路に対して分枝道路をつけ、これに十数件の住宅が張り付く形で数段のブロックで構成されています。分岐道路の終端には高いコンクリート擁壁があります。

私たちは分譲地全体を見て回り、各ブロックごとに高低差があること、そして道路の終端部に4~5mの擁壁があることを確認しました。この観察から予測すると、端部側はかなりの盛り土が行われたことを示しています。
したがって、その辺りの地盤が軟弱であることは間違いありません。

そこで販売業者から開発許可の図面(現況図と造成計画図)を見せて頂き、造成前に最も切土(地面を切り取ること)が多かった部分を購入することをHさんに提案しました。

これにより、地盤改良の深さが少なくなり、また、地盤が硬いと推測できるため、最終的にその場所を特定して購入区画を決めました。

分譲宅地ですから、敷地のポイントやライフライン等の問題はありません。
一方で、計画上の難点と言えるのは、住居を建てる部分が道路面から1m高い位置にあることです。
このタイプの分譲地はよく見られるものですが、私自身、道路から住まいの玄関まで1.5mもの段差があるのは好ましくないと感じており、設計段階でうまく処理することを考えていました。

売買契約を結んだ後(結果的に角地部分となりましたが)、地盤調査を行いました。その結果、1mも掘らないうちに硬い岩盤に達したため、柱状改良を行う必要はなく、表層改良のみで地盤改良が完了しました。

これが結果的にコストダウンにつながりました。
道路の終端部に近い場所だと、杭が10m以上必要となる可能性もあり、地盤改良費が100万円以上かかることも考えられます。設計者と不動産業者が同一であれば、このようなメリットが得られます。

結果的に、Hさんの希望を十分に反映した住宅を建設することができました。その設計は、Hさんのライフスタイルや個性を反映したもので、ピアノ教室を営みながら快適に暮らせるよう配慮されています。
地盤の1mの高低差も、道路からアプローチへの進入高さと半階分の階段を使って、道路からの視線を遮断し、プライバシーを保つことができる様に組み込みました。

また、岩盤に直接建築することで、家全体が安定し、地震に対する耐性も向上しました。これは、日本のような地震多発地帯に住むHさんにとっては、大きな安心感をもたらすことでしょう。さらに、地盤改良の必要がお安くなったことで、建築費用を抑えることができました。

このような経験から、土地を選ぶ際には見た目だけでなく、地盤の状況や地形、そして開発図面の詳細などを慎重に考慮することの重要性を再認識しました。

そして、適切なアドバイスと助言により、依頼者が最良の選択をすることをサポートすることが、私たち専門家の役割であると感じています。

位置指定の物件を購入しない事を勧めた Gさん

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物件を紹介されたGさんは、幹線道路から一本入った道路へ接続されている道路に面しており、橋の水路を渡った行き止まりの道路に面した物件に目を付けました。

その道路は1980年頃に造成されたと推測される位置指定道路で、道路に隣接する住宅は4~5区画存在していました。

この道路は行き止まりで、終端には回転路がなく、幅は約4mです。物件の位置は一番奥の区画にありました。
裏側は空き地で日当たりも良さそうだったため、Gさんは購入を検討し、私に相談を持ちかけました。

位置指定道路であることは確認したものの、大きな問題が見つかりました。

位置指定道路とは、開発や事前協議で作られる道路のことで、その所有はほとんどが市町村ではなく、今回の位置指定道路も、当時開発したと思われる分譲業者が所有していることが法務局で確認できました。しかし、その業者はすでに解散していました。

当時の代表取締役と連絡が取れ、話をする機会がありましたが、その方の話によれば、すでに倒産しており自身ではどうしようもないとのことでした。

このような状況で、道路の所有者が既に解散してしまった法人であった場合、その道路はどうなるのでしょうか?

  • 道路の掘削(給水・排水)を行う場合、所有者の同意が得られず、工事のための道路を掘削することができません。
  • 道路が傷んだ場合、所有者ではないため、住民(4~5件?)で修繕することもできません。
  • 下水管の埋設や、給水管の入れ替えができません。
  • 進入口の橋の専用許可がその業者であり、占用許可の使用料を納めていない。
  • 専用橋の修繕もできません。

以上の理由から、
『この区画の物件を購入することはお勧めしません。』と、理由を付けてGさんに伝えました。Gさんは物件探しを断念し、
別の物件を探し、購入することとなりました。

新たに見つけた物件は、しっかりとした幹線道路に面し、境界も明確でした。したがって、Gさんは安心してその物件を購入
できました。調査の結果、何の問題も見つからなかったので、更に安心できました。

Gさんは新たに見つけた土地で売買契約を締結し、私たちの会社と設計契約を交わしました。
私たちはGさんの要望を尊重しながら、満足する住まいを建てるための設計を進めました。

このような経験は、不動産の購入という重大な決定をする際の重要なポイントを示しています。
つまり、物件の選択は、単に見た目や立地だけではなく、所有権やインフラストラクチャーなど、さまざまな側面を考慮する必要があるということです。
また、信頼できる専門家の助けを借りることで、予期せぬ問題を避け、最終的に理想の家を建てることができるということも示しています。

田園広がる好立地に住まいを建てた Fさん

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Fさんが田園風景が広がる素晴らしい立地に住まいを建てることができたのは、彼自身の熱意と適切な判断力があったからこそです。

ユースホステルの跡地が解体中で、分譲地となることを知ったのは、犬の散歩中だったそうです。
その時点で、この土地を購入したいと決めていたFさんから、私は連絡を受けました。
現地は、建物解体中の現場で、早速私も訪れることにしました。

その土地は市街化区域の終端にある道路に面していました。
このため、当分の間は建物が建つことはなく、ここから見える景色が一定期間保証されるのではないかと予測されました。

その魅力的な景色を楽しめる区画を購入することにしたFさんは、現場の進行を見守りました。

その土地は地元の建売業者が開発した分譲地でした。
しかし、Fさんは自分の好きな建物を建てたいという思いから、業者と交渉し、建築条件を外して土地だけを1区画購入することにしました。
その結果、少し高い価格にはなりましたが、お気に入りの場所を手に入れることができました。

その敷地の区画は、開発許可を得て分割された分譲地であり、区画もきちんと確定しています。
前面道路は新たに造られた市道と、既に存在していた部分を拡幅した市道に面していました。
さらに、開発分譲地であったため、公共下水も完備されていました。
給水の引込も20mmあり、メーターの取り付けだけが必要でした。

開発分譲地で、敷地の段差がない土地は、ほとんどチェックすべき場所がないほど整備されていることが一般的です。

売買契約の立会いを終えた後、私たちは設計に取り掛かりました。

その後、目の前に田園風景が広がる見晴らしの良い場所に、Fさんの夢の住まいを建てることができました。
この新居はFさんの理想を具現化したものであり、彼の生活を一層豊かにするものです。

この南向きの眼下に広がる景色を見ながら住みたいと言ったEさん

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『気に入った景色がある場所があります。そこに家を建ててください。』
という言葉とともに、私たちにEさんから連絡がありました。

しかし、最初に現地を訪れた際、Eさんが一緒にいなかったため、私たちはその土地を見つけることができませんでした。
その場所に土地があるなんて、信じられなかったからです。

実は、私たちが見つけられなかったその土地は、道路に面した細長い形状だけでなく、道路から急勾配で傾斜している土地
だったのです。

最下部までは道路から約5mはあったでしょう。
その急な傾斜のため、道路に立っても、敷地があることを確認することができなかったのです。
しかし、その道路から見える景色は、非常に心地よいものでした。

物件を紹介した不動産会社の担当者は、地図上では敷地を理解していましたが、現地に来て呆然としていました。
「これは家は建ちません」と一言。そのため、土地が安かったのです。

敷地の広さは約80坪。道路に沿った細長い形状で、一部だけ車が1台停められるほどの平地になっていました。
その傾斜地には杉の木が5、6本立っており、平坦な空地はなく、車を駐車することはできませんでした。

全員で現地で図面と共に敷地を確認しました。
道路に立つと、前に広がるべき土地がなく、地面の先は下に落ちていました。そう、道路から下まで約5mはあったでしょう。下の地面までは、上から確認することができないほどの急勾配で、その下には幅約1mの農業用水路が流れていました。

敷地の境界は明確にポイントが存在し、前面道路は市道で、水路の存在も明示もされていましたので、敷地自体には問題はありませんでした。
しかし、敷地が下がっているため、排水をポンプアップなどを考慮しなければならない点が難点でした。

また、大きな擁壁を設置して地面をフラットにするような大規模な造成工事は、費用がかかりすぎるため、現状の地盤を利用して計画を進めることに決めました。まさにこれは建築家の腕の見せ所です。

驚いていた不動産業者に購入の意思を伝え、売買契約を結び、土地の購入が成立しました。

地形の急勾配を利用した建物は建築費が多少かかるものの、土地代が安かったため、予想以上に高額にはなりませんでした。
安価な土地を購入すると、その効果は絶大です。

計画では、1階が道路面、そして地下1階の2階建て建物として、地下階は鉄筋コンクリート造(RC造)、1階は木造の混構造で、計画しています。

完成までには色々と問題がありましたが、Eさんの思い描いていた住まいが完成しました。

この家は、南向きの景色を最大限に活かす設計となっており、窓からは眼下に広がる景色を楽しむことができます。
建築家として、我々が最も注力したのは、この美しい景色を楽しむための設計だったのです。

Eさんの夢が叶った瞬間、私たちも大変喜びを感じました。このような経験こそが、我々建築家の仕事の醍醐味なのです。

気に入って買い付けを書いたのに相手が断ってきた Dさん

Dさんが気に入った土地を見に行った後、私も現地を訪れました。現地は見晴らしが良く、目の前に桜並木が広がる素晴らしい土地でした。Dさんは即決で買い付けを出しましたが、売主から中止の申し出がありました。

しかし、購入申込書に法的拘束力はないため、売主が売り出す前に買い手が付いたという理由で中止することは不可能です。

結局、その土地を手に入れることはできませんでしたが、その後、別の良い分譲地が出たため、そちらを購入し、Dさんは住まいを建てることができました。

Uターンで奈良に住まいを建てたCさん

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当時、北陸にお住まいだったCさんの奥さんは、もともと奈良に住んでいた方で、住まいは奈良で建てたいというご希望がありました。しかし、奈良で土地探しをすることは中々難しく、不動産業者から物件が出た際に、現地を見に来ていただくことになりました。

現地は、ずいぶん前に開発された分譲地の一画で、現在は更地になっていました。建物が立っていた経緯もなく、道路は奈良市道で敷地の境界も問題ありませんでした。給水は既に20mm引き込まれており、公共下水も完備していました。

最終的な判断は、Cさんがこの場所に感じた印象によりました。結論は、奥さんのご実家にも近いことから、この場所を選択することに決めました。購入後は設計を済ませ、住まいを建てることになりました。

ニュータウンの中で好きな土地を選んだ Bさん

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吉野に近い大規模なニュータウン内で、Bさんは空いている土地の購入を考えて 当方にご相談を頂きました。

7~8件の宅地を回り、陽当りや眺め、形状を一つ一つ見て回り、角地の緩やかな 勾配がある土地を選びました。 場所も分かりやすく視線が抜け、風通しも良く住み心地が良い場所で、敷地の角に大きな シンボルツリーを植えましょうという話も進みました。

ニュータウンですから道路、境界、給排水はしっかりしており、契約時には同席して確認を行いました。その後、お約束通り大きなシマトネリコが1本、シンボルツリーとなってBさんの住まいと調和しています。

道路にある水路の明示で購入を1年待った Aさん

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その現地は、価格が広さに対してお安いのに加え、明日香にも近いということで、Aさんご夫婦はとても気に入っていて、購入したいとのことでした。特に周りが田んぼで視界がパッと開けている土地でした。

しかしながら、全面道路が狭く未舗装であり、敷地と道路の間に水路があるため、水路と道路の確定から進める必要があります。

まず、敷地が道路に接していないため、水路明示が必要であり、水路の両側の同意がないと確定できません。今回は、水路の対側に道路(里道)があり、その向こう側の所有者の同意が必要でした。しかしながら、対側の所有者が道路後退を気にして同意判を押してくれず、持ち主(売主)が対側側(たいそくがわ)の所有者と話をしても話が合わず、時間が掛かってしまいました。

その後、話し合いの長い時間が流れ、結局、水路明示が確定するまで1年かかり、やっと購入が可能になりました。購入後は、明示確定→占用許可→建築確認と進み、設計の後、Aさんは住まいを建てることになりました。

明示が確定できないと、こんなに時間が掛かることもあるのです。

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