物件の探し方|不動産情報サイトの業者へ直接問い合わせしない理由

どうして不動産情報サイトに載っている業者に連絡すると浅野さんが入ることができないの?

私がエージェントとしてサポートを行う場合は、不動産情報サイトで見つけた物件を、掲載している業者に直接連絡するのではなく、当社にご連絡いただくようお願いしています。
それはなぜか、以下で分かりやすくご説明します。

まずは、下記の図解をご覧ください。

目次

不動産情報サイトで物件を見つけた際に直接連絡するとどうなるか

不動産情報サイトに掲載されている物件がどのように構成されているか


はじめに、物件情報がどのように流れて購入者に届くのかを説明いたします。

例えば、売主が所有する中古住宅を売却しようとA不動産業者へ依頼します。
その際、売主とA不動産業者との間で媒介契約が行われます。

売却を依頼されたA不動産業者は売主側不動産業者となりますが、A不動産業者は一定期間内にレインズへこの情報を登録する義務があります。これは法律で決められています。
ただし、レインズへの掲載義務のない条件はあります。それは一般媒介契約か、物件の売主が不動産業者の場合です。売主が不動産業者と言うのは建売住宅などがこれにあたります。この場合は、レインズに掲載しなくてもいいとされています。 

レインズとは、不動産業者のみがアクセスできるデータベースで、売主の物件情報を広域な範囲の購入者に届けるシステムです。不動産業者が紹介する情報のほとんどは、ここから検索しており、ここに掲載している情報は、どの不動産業者でも仲介が可能です。同時に不動産検索サイトや自社ホームページなどにも掲載します。

レインズに登録された情報を見て、他の不動産業者D及びEは自社でもその物件を売らせてほしいとA不動産業者へ問い合わせを行い、売主業者であるA不動産業者の掲載の了解を受け、D及びE不動産会社もその物件の購入者を探すために不動産情報サイトや自社のホームページに掲載します。よく不動産情報サイトに同じ物件が複数掲載されている場合はこれに当たります。

不動産検索サイトに掲載された物件を見て、 買主はこの情報を知ることになります。

不動産情報サイトに掲載している業者とは、どのような立場になるのか


上記で説明した通り、売主不動産会社であるA不動産会社と、掲載の了解を得た(レインズで広告掲載可)及びE不動産業者。この2者は立場が異なります。

A不動産業者は、「売主の不動産業者」です。
では、B,C,D,Eの不動産業者の立場は、「買主の不動産業者」になります。

不動産の媒介は、売主には売主側の不動産業者が、購入者には購入者側の不動産業者がそれぞれ手数料を受け取るようになっています。
買主が売主側の不動産会社に問い合わせた場合は、この業者は売主と買主双方の不動産業者として売主と 買主の両方から手数料を受け取ることになります。
もし買主が選んだ、自分たちの専門家エージェントがいたとしても、この状態で買主側としての仲介業者として入るべきポジションはありません。

つまり、不動産情報サイトで物件を見つけた際に直接連絡すると、売主側の不動産業者とやり取りすることになり、 買主にとっては、自分たちの利益をより保護できる可能性が低くなります。
不動産情報サイトで気になる物件が見つかり、買主自ら選んでいたエージェントに連絡すれば、自分たちの利益を最優先に考え、交渉や手続きをサポートしてくれます。

不動産情報サイトから直接業者に連絡した場合、どのような購買ルートになるのか


実は、直接問い合わせをした時点で、購入ルートが決まってしまいます。
そのルートは二つあります。

一つ目は、問い合わせをした業者がAの売主不動産業者だった。

二つ目はD,E問い合わせをした業者がA売主業者に了解を得た”買主業者”の場合です。
この業者は、買主の不動産業者になりますが、「物件を売りたい」という売主側の立場をよく理解した業者になります。

買主側のエージェントとして入る方法は?


残念ながら、どちらのパターンでも、 買主のエージェントが不動産業者として交渉できる場所はありません。

売主のA不動産業者の場合、あなたのエージェントが入ると、手数料が売主のみになってしまいますので、片方の手数料で納得することはできないのが現実です。(そのためにやってはいけない囲い込みまで行うこともあります。)

また、売主業者に了解を得たD,E不動産業者であった場合、 買主のエージェントが入ればその業者の手数料は無くなります。これを納得することはありません。

結局、不動産情報サイトから物件の問い合わせをすると、買主のエージェントが不動産仲介をすることは出来ません。

では、どうすれば良いか。

レインズに登録されている物件は、どの不動産業者でも購入することができます

  • 売主が依頼した売主側の不動産業者は、売却依頼の媒介契約により、レインズに登録する義務があります。
  • この登録情報は、レインズにアクセスできる不動産業者であれば、すべての業者が情報を得ることができ、仲介することができます。
  • また、不動産業者はレインズに登録せずに不動産情報サイトへ登録することは一般媒介契約以外では認められていません。(一般媒介契約であっても、媒介したい業者はレインズに任意登録します)

もし、レインズに掲載していない物件であれば、売主業者が意図的にレインズへ登録せず、売主・購入者の両方から手数料を取るための囲い込み物件である可能性が高くなります。

要するに、不動産情報サイトに載っている物件は、どんな業者でも購入が可能です。
つまり、掲載業者だけが買えると思っている考え方は、違います。

結論

不動産情報サイトに掲載している業者へ、直接問い合わせしない理由をまとめます。

  • 問い合わせ先は、売主側不動産業者か、そこから情報提供を受けた不動産業者に繋がります。
    情報提供を受けた不動産業者は買主の立場で対応しますが、買主の利益を最優先するスタンスよりも、「物件を売りたい」という売主側の立場をよく理解した業者になります。
  • どちらの業者に繋がったとしても、 買主の専門家であるエージェントが不動産仲介をすることは出来ません。
    買主は自分自身の利益を自分で守る必要があります。
  • 不動産情報サイトに掲載されている情報(レインズに登録されている情報)は、どの不動産業者でも仲介して購入できます。だからこそ、買主のエージェントを通じて購入することが一番安心できる方法です。

これがその理由です。
ここまでお話ししてきた内容を読んでいただいた方は、もう理解していただけたと思います。

物件探しを先にするのではなく、自分が信頼できる不動産エージェントを見つけてから、物件探しを行う。

気に入った物件が見つかった際は、自ら選んだエージェントを通して売主不動産会社へルートをつなぎます。

エージェントが物件を調査することで問題点を確認し、正しい情報を受け取った後、サポートを受けながら物件購入の交渉に進める。

これが買主にとって、最善の選択です。

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