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農地を買って家を建て農業をしたい。と,2022年の生産緑地問題

 
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「農地を買って、農業をして、そこに住まいを建てたい」
こういった要望をお聞きすることがあります。
今まで農家ではなかったものの、定年後は農地を買ってそこに家を建て、農業がしたい。
実際、そのような需要は増えているのではないでしょうか。

まず農家になるには少なくとも二つの大きなハードルがあります。
耕作をする技術と田畑の確保です。
当方では耕作技術については説明不可能ですので、土地の収得について説明したいと思います。

農地についてですが、市街化区域内であれば問題ありません。手続きは農業委員会への届け出のみです。そもそも市街化区域は宅地化を目的とする区域ですから。ただ、土地の単価も固定資産税も高額ですので現実的に向いていません。また、市街化区域内の生産緑地については後述したいと思います。 

現実的には市街化調整地域でしょうからここに限定してお話致します。 
農地は農地法により農家でなければ土地を購入することは出来ません。 まず、市町村の農業委員会にて農家をやりたいので土地を収得したい事を相談の上、農地を確保する方法を確認してください。 最終的には農業委員会の許可(農地を農地として購入する手続きで農地法3条許可)が必要になります。農地の購入を目的とする場合、農業経験のない方は難しい事がありますので注意が必要です。

例えば奈良市で農業をする場合、所有する敷地面積は3反(3000㎡)以上を必要とします。(面積は市町村により異なります)  土地購入の他に、借地をして農家になる方法はあります。これにも面積の制限があります。 

次に農家住宅について説明します。
市街化調整区域において、農家が農家住宅を建築する場合の制限については、農業を少なくとも1期収穫する必要があります。その後、農家証明を農業委員会で発行の後、これをもって県の協議にて建築許可不要の承認をとれば住まいの建築が可能になります。
期間としては、農家証明が出ればすぐ建てられる訳ではなく、その証明をもって申請し、許可が出て初めて建築が可能となります。 足掛け2年以上は購入又は借地農地の近くに仮住まいする住居が必要ですね。

農家になるのも中々険しい道のりかも知れませんが、条件が合えば出来ない事ではないと思います。土地収得と時間が必要ですので、自己資金は十分用意する必要があります。

2022年の生産緑地問題というものをご存知でしょうか。
住宅街の中にあるにも拘らず、結構な広さの農地があるのを見たことがありませんか?
「これだけあれば広い家が何戸か、またマンションでも建ちそうなのに、農地なの?」 と思いますよね。 実はそれが「生産緑地」なのかもしれません。
生産緑地とは、市街化区域の中に期限付きで使われている農地のことです。
(市街化区域とはおおむね10年以内に市街化を推し進めることを目的として線引きされた区域で、イメージ的には街中で、周辺に田畑がある地域は市街化調整区域である事が多いです。)

昔から都市部であっても古くから農業を続けている人が数多く存在しました。 近辺が都市化されることは資産の増加になるとともに固定資産税の高騰を引き起こします。 農業を行う農家においては市街化区域に入ることで固定資産税が高くなることは死活問題です。

こういった原因から1991年4月に改正生産緑地法が適用されました。生産緑地として指定されると、30年間は農業を続ける事が義務化されますが、その代わり固定資産税が一般の内と同様にきわめて低い税額に抑えられる他相続税の納税猶予措置があります。農業を生業としている農家としてはとても有利な条件です。 生産緑地の大半は都市部が主で近畿では66都市3,975ヘクタールの面積があります。

さて、何が2022年問題かと言いますと、この生産緑地法が適用された1992年度から指定された生産緑地はその多くは初年度に指定されています。
そして、30年目が2022年になるのです。30年の営農義務が外れるとどうなるか?
判断は、農家を続けるか(農家を継続できることが可能か)、やめるかです。
営農義務が外れると税金(固定資産税)が宅地並み(5年掛けて徐々に上がる)になると、農家はその土地を維持することが出来なくなります。
原則、農家をやめる場合は各市町村の農業委員会が他の耕作者を探すか、または買い取るかとなっている訳ですが、そんなに沢山の土地を買い取ることは予算不足の為出来ないとなると、この土地が市場に宅地として供給されることとなるのです。

大量に市場へ宅地が出て来ると言う事は需要供給のバランスが崩れ、市場は一斉に値下がりするという訳です。 空き家も大量に出て来るとも予想できますね。
政府もその事を懸念し、2018年に法改正されました。
特定生産緑地の指定を受けることで10年毎の更新をすれば、税金の優遇は持続する。
新たな指定を受ける場合の敷地広さは、500m2から300m2以上へとなった。
生産緑地指定区域内では農林漁業を営むために必要な建築か造成でないと認められなかったところに、直売所や農家レストラン棟の設置が可能になった。
では、2022年以降、
大量に宅地が供給されるであろうその土地は、皆さんが土地を購入する事が出来るのか?
これが買主の一番の興味ポイントですよね。

市場にたくさん出た物件が安く買えるなら大歓迎です。
実際、地主にアンケートで聞いたデータがありましたが、その大方が特定生産緑地として10年の更新に心動いている様でした。 と言う事は世間で騒いでいる暴落の可能性は低いのではないかと思われます。
と言いましても地主の10%程は売却を考えているという事でしたので、市場にはある程度出て来ると思います。

では市場に出て来る土地はどんな土地でしょうか。
そもそも生産緑地とは、市街化区域内の500㎡以上の土地ですから、街中の500㎡の土地を一括で購入できるなら可能かもしれませんが、順当に考えれば開発業者が購入して分譲住宅として販売されるか、マンション等の建物になる確率が高いと思います。
土地を買って家を建てたいと考えてられる貴方にとって、分譲住宅の購入は目的が違いますのであまりメリットが感じられませんね。

農地を買う、土地を買う時に必要なことは、いつでも購入できる気持ちで意識的に探す事。そしてそのための十分な自己資金の確保になります。

売りに出ている農地があり、そこに家を建てる事ができるか?分からない事など、ご相談ください。

 

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