賃貸から分譲マンションへ住み替える貴方へ伝えておきたい事

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賃貸マンションから分譲マンションへ住み替える貴方へ伝えておきたい事

賃貸マンションから分譲マンションへと移られる方は結構多いのではないでしょうか。
しかし、両者は全く違います。
今回は、それをお伝えします。

初めに、賃貸マンションと分譲マンションの違いは、

「賃貸はマンションを借りていて、分譲はマンションを買ったもの。」

確かに簡単に言えばその通りです。
しかし、部屋を借りている、買っているといった単純なものではないのです。
実は私も若い頃、賃貸マンションから分譲マンションへ移った一人です。
当時は、その違いをその程度でしか理解していませんでした。

賃貸マンションと分譲マンションの違い

ちょっと難しいですが、賃貸マンションと分譲マンションの違いを説明します。

賃貸マンションは、一人の所有者(家主)が各部屋部分の使用(占有権)を
賃借人(貴方)に貸している形態で、マンションの管理は全て所有者(家主)が単独で
行います。

雨漏りや外壁の劣化等建物の傷んだ所(外部内部共)の修繕や、マンション全体の
管理(清掃や植樹、集金等を賃貸不動産業者へ依頼しているケースもあります)は、
所有者(家主)が行い、この費用の一部を賃借人が管理費として負担しています。
具体的には月額5,000円とか10,000円としてお家賃の他に掛かるものですね。
正確に言うと賃貸マンションは、区分所有法ではマンションには該当しません。

では、分譲マンションとはどういうものでしょうか。

まずは、「マンションの定義」から(区分所有法による)。
マンションとは、建物自体が複数の区分所有者が所有する建物で、その区分所有者
の団体(管理組合)が管理と修繕(傷んだ部分や大規模改修)を計画的に運営します。

マンションを購入するという事は、マンションの専有部分(居住部分)と、共用部分の
持ち分割合(専有部分の床面積割合)を持つという事です。
共用部分は、玄関、階段、廊下、エレベーター、屋上、管理人室(専有部分の管理所有)
等を言い、敷地は敷地利用権として所有し処分する事は出来ません。
これらを管理維持するための費用としての管理費と、建物の維持・改修の為の修繕
積立金が必要になります。

では、管理するとはどういったものなのかをこれから説明してゆきます。

マンションの価値や評価は、管理組合の”管理”によって良くも悪くもなる

マンションの選択で一番先に考えられるのは、”立地”でしょう。
良い場所に立つマンションの価値・評価は、誰もが高いと言えるでしょぅ。

また、”広さ”や”外観”についても同様でスティタスの要素があります。

忘れてはいけないのが、”管理”です。
「マンションは管理を買え」と言われるように、管理の良し悪しで評価が大きく
変わることを知っておいて下さい。

管理については、管理組合が運営すると言いました。
言わば一つの企業体、区分所有者全員参加の会社のようなものでしょうか。
とはいえ、
その業務は幅広く、管理事務(会計事務、出納事務、維持修繕の企画・実施の調整)
等の多くは、管理会社(マンション管理業者)に業務を委託しています。
勿論、委託せずに自分達で管理するマンションもあります。
ですから委託する管理会社も重要な要件になります。

外から見ていて、美しい庭や整理整頓されているマンションは、区分所有者が行う
管理組合により維持されているのです。

区分所有者が管理組合に参加する

区分所有者全員が組合員となり、その内の理事(輪番制が多い)が理事会を運営
して、最終的に総会で議決をとる合議制でマンションを管理します。

賃貸マンションでは、居住者がマンションの管理に口を出すことはありません。
建物の外観であれ、決め事であれ、所有者(家主)の決めた建物をよしとして
借りているからで、そのルールに則ります。

分譲マンションでは、マンションの規約・細則がルールになります。
そしてそのルールは区分所有者の合意で決めることになっています。
規約は管理組合の総会で決められます。

当然、区分所有者であるあなたもこの集会や理事会に参加して、管理を行う
義務も発生します。
面倒だと思わずに、自分達のマンションを暮らし易くするために参加するのは、
分譲マンションを購入した方の醍醐味です。

マンションの管理費は安い方が良いのか? 

分譲マンションを購入すると、管理費と修繕積立金がかかります。
と不動産会社から事前説明があったと思います。

もしかしたら、お安い方で決めた。なんて事は無いでしょうね。
管理費と修繕積立金が高いところとお安いところがあったと思いますが、
安ければ良いという事ではありません。

前項でマンションの運営は管理組合(すなわち自分達)で行うと言いました。
ここに拠出する費用が安いということは、管理組合の運営費が少ないという
事です。

管理組合の運営は、通常の管理業務だけでなく、庭や駐車場、アプローチ
などの外部管理や、共用部分であるホール、廊下や階段、エレベーターと
いった建物部分、給水、ポンプ、排水管、電気や通信などの設備関係、
そしてある一定期間をおいて建物の劣化を改修・補修する修繕工事等で
沢山の費用が必要になります。

これを区分所有者から集めた管理費と修繕積立金を使って運営するのです。
もし、管理費が少ない場合は、管理費用を削って自分達で修理・清掃したり、
植栽管理するか。そんな事になりませんか?

修繕積立金が少なくて、大規模修繕工事費が足りない場合は、どうしま
しょうか。

マンションは一定期間ごとに大規模修繕を行うから美しさが維持される

マンションは、長期的保全計画の基本として長期修繕計画を立て、物理的
劣化や機能的劣化を改善するために、修繕と補修工事を行います。

また、12年〜15年の間に建物の状態を見て大規模修繕工事を行います。

賃貸マンションは、劣化が顕著に表れてきた際に外観等の吹き替えを行い
ますし、一般住宅では住まい手の都合で行われますので、結局長い期間
補修をしないままの場合もあります。

分譲マンションは期間を決めて長期的に建物を維持するために、計画的に
行います。
そして規模も含めてかなり大掛かりな改修工事となり、大きな費用がここ
で費やされます。

分譲マンションが外観上劣化した建物が少ないのは、こういった修繕を
長期計画的に行うようにしているからですね。

修繕積立金不足は、マンションの根底を揺るがす大問題

大きな費用のかかる大規模修繕工事ですが、区分所有者から集める修繕
積立金をとり崩して行いますから、そのスパンを短期間で行うと積立金が
不足する可能性もあります。

新築後、1回目の大規模改修は予算があるケースが多いのですが、2回目、
3回目となると大規模修繕工事に充てる修繕積立金の不足するマンションも
出てきます。
もし、このようになった場合、マンションの管理組合はどのような対応策
が考えられるのでしょうか。

修繕積立金と大規模修繕までの期間が決まっていれば、計算により不足する
かどうかが分かります。
その際不足していることが分かった際の対策は、
1. 毎月の修繕積立金の金額を増やす
2. 必要な金額を区分所有者全員から一時金として徴収する
3. 大規模修繕工事を遅らせる
4. 不足分を借金してそれに充てる

なんか順に怖い話になってきましたね。
でも、これは現実です。これも管理組合の運営手腕になります。

実際は、段階積立方式から将来を見据えた均等積立方式へとスライドして、
安定的に修繕積立金を増やす方法をとる方法が使われます。

何故、修繕積立金が当初のまま進めていて不足になってしまうのかの理由
ですが、新築当時は販売会社が販売しやすいために管理費や修繕積立金を
低額に設定する事が多いのです。

そのままで行けば遅からず修繕積立金が不足することは目に見えています。
そういったマンションが実際多いのは事実です。

修繕積立金の増額方法は2種類あって、段階的に修繕積立金をスライドして
上げてゆく段階積み立て方式と、大規模修繕費に必要な額から逆算して
修繕積立金を決め、その金額を固定額とする均等積み立て方式があります。

段階積み立て方式は、少しずつ上げる方法ですので財布には良いですが、
大規模修繕時には高額になってしまう事が考えられます。
均等積み立て方式は国土交通省も勧めていますが、いきなり増額金が多く
なるのがデメリットです。この方式は、当初から一気に上げる事になります
が、その後の変動がなく、一時金の徴収がないのもメリットだと言えます。

まとめ

賃貸マンションと分譲マンションの違い、分かって頂けたでしょうか。

分譲マンションは、区分所有者が管理組合の組合員として運営する。
その運営度合いで管理組合の評価が違います。

もし、購入しようとしたマンションの修繕積立金が少なかったり、借金
していた場合、あなたがそのマンションを購入するということは、借金
も一緒に購入することになる訳です。

マンション購入は、”立地”や”広さ”だけで買うのではなく、”管理”もしっかり
考慮した上で購入をして下さい。

また、住まいの選択でマンションを選ぶ場合は、賃貸マンションのような
お客様ではなく、自身が管理組合に入り運営者の一員として入居する
気持ちで購入しましょう。

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